蓄電池
家庭用蓄電池の基礎知識|容量・出力・停電時の違い
家庭用蓄電池のkWhとkW、全負荷型と特定負荷型、容量を決める計算方法をわかりやすく解説します。
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家庭用蓄電池を選ぶときは、カタログの容量だけでは判断できません。何kWhためられるか、同時に何kW使えるか、停電時に家のどこへ給電できるかの3点を分けて確認します。
家庭用蓄電池でできること
家庭用蓄電池は、電気をため、必要な時間に放電する設備です。主な用途は次の2つです。
- 太陽光発電の余剰電力をためて、夕方や夜に使う
- 停電時に、あらかじめ決めた回路または住宅全体へ電気を供給する
太陽光発電がなくても、電力会社から購入した電気を充電して使える製品があります。ただし、料金プラン、充放電による損失、機器価格を含めると、安い時間帯に充電するだけで導入費を回収できるとは限りません。
容量のkWhと出力のkW
容量(kWh)
容量は、蓄電池にためられる電力量の大きさです。たとえば消費電力100Wの機器を5時間使う場合、単純計算で必要な電力量は次のとおりです。
100W × 5時間 ÷ 1,000 = 0.5kWh
実際には、カタログ上の定格容量をすべて使えるとは限りません。電池を保護するために残す領域や、直流・交流を変換するときの損失があるためです。比較時は「定格容量」だけでなく、実際に取り出せる初期実効容量や使用可能容量も確認します。
出力(kW)
出力は、一度に供給できる電力の大きさです。容量が大きくても、出力上限を超える家電を同時に動かすことはできません。
停電時に冷蔵庫、照明、炊飯器を使う想定なら、各機器の消費電力だけでなく、起動時に大きな電力が必要になる機器がないかも確認します。100V機器だけでなく、200Vのエアコン、IH調理器、エコキュートを使いたい場合は、製品と配線方式が200Vに対応している必要があります。
全負荷型と特定負荷型
停電時の給電範囲は、大きく2種類に分かれます。
特定負荷型
冷蔵庫や照明など、事前に選んだ回路へ給電します。使う場所が限られる一方、必要な機器に絞りやすく、電池残量を管理しやすい方式です。
全負荷型
住宅全体の分電盤へ給電する方式です。複数の部屋で電気を使いやすく、200V対応製品なら対応するエアコンなども候補になります。ただし「全負荷」は、すべての家電を同時に制限なく使えるという意味ではありません。蓄電池やパワコンの停電時出力を超えないよう、使用機器を調整する必要があります。
オムロンの停電時案内では、特定負荷型で使えるのは特定負荷用分電盤に配線した機器と説明されています。ニチコンの家庭用蓄電システムにも全負荷・特定負荷の両方に対応するモデルがあり、製品ごとに構成が異なることが分かります。
必要容量は「停電時に使う機器」から計算する
まず、停電時に残したい機器を表にします。
| 使用機器 | 想定消費電力 | 使用時間 | 必要電力量 |
|---|---|---|---|
| 冷蔵庫など | 150W | 8時間 | 1.2kWh |
| 照明 | 60W | 5時間 | 0.3kWh |
| 通信機器 | 30W | 8時間 | 0.24kWh |
| テレビ | 100W | 3時間 | 0.3kWh |
この例では、1.2 + 0.3 + 0.24 + 0.3 = 2.04kWhです。数値は計算例であり、実際の消費電力は各機器の銘板や取扱説明書で確認してください。冷蔵庫やエアコンは常に同じ電力で動くわけではないため、余裕も見込みます。
次に、停電を何時間想定するか、翌日に太陽光から再充電できる構成かを考えます。平常時の自家消費を主目的にする場合は、夜間の消費量と日中の余剰発電量も合わせて確認します。
単機能型とハイブリッド型
- 単機能型:太陽光発電用とは別に、蓄電池用のパワコンを設置する
- ハイブリッド型:太陽光発電と蓄電池でパワコンを共用する
既存の太陽光へ後付けする場合、現在のパワコンの年式、保証、配線、メーカー間の接続条件を確認します。まだ使えるパワコンを交換するのか、将来の交換時期に合わせるのかで総費用が変わります。
見積もりで確認する項目
- 定格容量と初期実効容量(kWh)
- 平常時・停電時の定格出力(kWまたはkVA)
- 全負荷型か特定負荷型か
- 100V・200Vの対応範囲
- 停電時の切替が自動か、操作が必要か
- 太陽光から停電中に充電できるか
- 単機能型かハイブリッド型か
- 電池、パワコン、施工の保証内容
- 保証の年数だけでなく、容量維持率やサイクル数などの条件
- 屋内・屋外、温度、塩害、設置スペースなどの設置条件
- 基礎工事、分電盤工事、既存設備の改修を含む総額
蓄電池は、容量を大きくすれば使い勝手が自動的に良くなる設備ではありません。目的、給電範囲、出力、太陽光との接続を先に決め、その条件を満たす製品を比較する順序が分かりやすいです。
参考資料
- 停電時の使い方(オムロン ソーシアルソリューションズ)
- マルチ蓄電プラットフォーム(オムロン ソーシアルソリューションズ)
- 家庭用蓄電システム(ニチコン)
- 住宅用太陽光発電システムとは(太陽光発電協会)
情報確認日:2026年8月13日